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「俺なんかの感想じゃアテにならないかもだけど、本当に感動したんだ。だからさ……」
『そんな顔、しないでよ』
その言葉を飲み込む。必死に強がろうとしている彼女に言ってはいけないし、自分が言える言葉でもない。
「俺、今岡さんのファン1号になるよ」
そう言った瞬間、今岡さんの表情が一気に晴れたのがわかった。それと同時に、どんどん自分が嫌いになっていく。
本当の小説好きなら、もっと上手く自信に繋がる感想もアドバイスも言えたのに。頼り無いファンで、本当にごめん。嘘を吐いて、勝手に小説直して、ごめん。
「青田君って、いつも欲しい言葉くれるよね…… ありがと」
その表情が見たかった筈なのに。4つ目の嘘は、今までよりも苦い味がした。
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