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そんな今岡さんとの差を埋めたかったのだろうか。
嘘吐いた自分じゃなくて、本当の自分の事を話したいと思った。頑張りを認められて、舞い上がってたのもあるかもしれない。
「俺さ…… 夢とか無くて。小さい頃からノロマで、運動も出来ないし、人前に立つ事も苦手だし。唯一勉強だけは馬鹿にされない様にって頑張ったんだけど……」
『お前は“ガリ勉”じゃなくて“デブ勉”だな!』
そう笑う清水の声を思い出す。どれだけ努力したって、それがダサいと馬鹿にされた。そして、国語のテストは1回も清水に勝てなかった。
「勉強も頭打ちで。頑張る事が嫌い…… だったんだ。だけど」
『変わりたい』
そんな事言ったら、温いと思われるだろうか。『お前じゃ無理』と清水みたいに笑われるだろうか。
夢を語るって、こんなに難しい事なのか。
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