5つ目『増々続きが楽しみになった』

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「全盲になってから、そういう夢を全部形に残そうって思い付きで小説書き始めたの。それが段々同じように夢破れた人とか、現実に嫌気がさしてる人に、読んでる間は幸せになって欲しいなって思いに変わって……」  一生懸命話してくれる彼女の言葉を受け止める余裕なんて無くて、言葉が苦さだけを残して流れていく。  そんな俺の事が見えない今岡さんは、照れた笑みを浮かべながらも話を続けてた。 「兎に角言いたかったのは、あたしも何度も諦めたし、上手くいかない事ばっかだけど、『どうせ出来ない』とか『自分に向いてない』って考えで視野を狭めないで欲しいなって…… 出来なくても、それが他の道に続いてるかもだし……」  俺の事慰めようと、自信を付けようとしてくれていたんだろうな。少し照れ臭そうに、気遣った笑顔が余計に胸を締め付ける。
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