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『ピピピピ! ピピピピ!』
耳を劈く不愉快な音が夢を終わらせる。いや、馬鹿にされる前に終わらせてくれよ。そんな思いを込めて時計の頭を叩いて黙らせた。
6時30分。それは俺の仕事じゃないと言う様なドヤ顔で2本の針が俺を見下している。
3月ともいうのに春は冬眠中らしく、まだ肌寒い日が続いている。目覚まし時計へと伸ばした腕だけが、まるで別世界に居る様に寒い。
けれど、夢よりかはマシだ。だって現実だと、今日は今岡さんと会う日なのだから。
ただ、寝足りないのも事実。重い体を起こすと、机の上に置いてある原稿用紙が映り込んだ。今日の3時間前まで睨めっこしていた相手。
『ありふれた。』の話自体はやっぱり面白い。けれど、今岡さんと清水の事がチラつき、なかなか修正作業が進まずにいた今週。
更に、天は二物ではなく“期末試験”という荷物を用意してくれていた。それも、最終日の今日に嫌いな現代文と、提出物の多い数Ⅱ。
それが寝不足になった理由。これで期末の点数が下がったとしても、誰のせいでもなく俺の責任だ。
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