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「そんな事無いよ。俺も気持ちわかるから」
その一言にキョトンとした今岡さんに向き直り、真剣に見つめる。ボイスレコーダーも、波の音も、もうどうでも良い。
「ずっと、好きな人の幸せ願って1人我慢してたんだよね? そういうの、俺みたいな部外者にだからこそ打ち明けられる話しなんじゃない?」
自分で言った『部外者』が虚しく響いく。
苦しい。哀しい。それでも、隣に居たい。そして笑っていて欲しい。その気持ちを知っているから、1人で抱え込まないで欲しかった。
俺がその分、我慢するから。
「俺で良かったら聞くよ」
そう極力笑顔で今岡さんに語り掛ける。それが部外者のファン1号に出来る事。
「本当は…… 天気晴れててほしかったな!」
「え?」
一瞬俯いた今岡さんが、顔を上げてにっこりと微笑んだ。『凄く辛い』とか『今も忘れられない』的な事を想像していただけに、その答えに面を喰らってしまう。
しかし、目は薄っすらと赤い。天気は曇りだ。日が沈んできてるからではないだろう。
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