7つ目『好きだったんだ』

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 いつもの席に、ホットのカフェモカとカフェオレ、今岡さんと俺、緊張感と不安が並ぶ。いつもは無駄に効いている暖房も無視する様な冷たい空気に嫌な予感しかしない。 「えーと、今日何かあった?」  今岡さんの表情を確かめる為、覗き込みながら聞いてみる。『何かあった?』と言いながら、何となく予想は付いていた。  いや、『どの嘘だ?』状態。その考えを肯定するかのように、今岡さんが目を細めたのがわかった。 「確かめなきゃいけない事があるの」  この一言で『俎板の鯉』と言う諺が頭に浮かぶ。半分その意味の通りの状況だから、半分は心臓が俎板の上に置かれた鯉と同じ動きをしたから。 「青田君って…… 本当は誰?」  強張っていた表情の今岡さんが、眉を下げて笑った。いつもの無理している、見たくない方の笑顔だ。 『終わった』。そんな音を立てながら何かが崩れ出す。 「何で…… そんな事聞くの?」  徐々に、どうして? 何があって? と聞かれた側なのに疑問が浮かんでいく。けれど、声になったのはこれだけ。 「聞いたから。海見に行った時の帰り、偶々部活終わりのと会ったの」 『清水』の名前に目を見開いた。  何で、今ここでアイツが? そんな分不相応な気持ちが芽生えてくる。 「その時に『アイツって足立だよな?』って言われて。最初は否定したんだけど。でも」  そう言いながら、今岡さんは声の出るスマホをテーブルに置いた。そこには自分も見慣れている水色の背景に緑の吹き出し、そして上には『清水』の文字。
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