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「好きな人助けたくなるのは当たり前でしょ」
「は?」
小学生の時から変わらない相手を前に、今の俺の本音で勝負に出た。
俺は、“今”を壊したくなくて嘘を吐いてきた。でも、それは逃げてるだけで、結局、大事な物守れなかった。
だからこそ、わかる。この本音で今岡さんに気持ち悪がられるかもしれない。けど、他人見下してプライド守ろうとする清水よりも大人になるには、これしかない。
「清水、お前は何がしたいの? 今岡さんが好きでここまで付いて来たの?」
「好きだ? 幼馴染に着いた変な虫追っ払ってるだけに決まってんだろ」
「それって本音? 幼馴染だったら知ってんじゃないの? 嘘吐いた俺の事、許してくれるぐらい今岡さんは強い人だって」
余裕だった筈の清水が少し焦った表情を見せた。しかし、すぐに『お前に何がわかんだ』って言いたげに睨んでくる。
「幼馴染だからって、ここまで執着する必要ある? お前こそ強い男演じてるつもりか知んないけど、やってる事女々しすぎ。このままじゃ今岡さんにも“花梨ちゃん”にも逃げられるよ?」
余裕な表情で嗤い返してやる。いや、俺も言えた立場じゃないし、今岡さんにも申し訳ない。しかし。
「うっせーな! 花梨は関係ねーだろ! 何も知らねーお前がしゃしゃり出てんじゃねーよ!」
顔を赤くさせた清水を見れば、“花梨ちゃん”との関係はおおよそ当たってたらしい。適当に言っただけなのに。
強がり過ぎて上手くいってないのか。それで1人になるのが嫌で今岡さんに執着してたのかもな。
もしかしたら、今岡さんに嫉妬してほしくて“花梨ちゃん”と付き合ってたのかもしれない。本人にしか知らない事だろうけど、態々ここまで来てる程だ。そう思うと清水が意外に不器用で、小さく思えてくる。
「誰もわかりたくねーし、興味ねーよ。それに、今岡さんがここに誘ったのは『足立 青空』だ。お前じゃない」
威厳なんて無い。台詞もダサい。こんな修羅場慣れても無い。でも、これが今の俺だ。
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