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そして2人で春限定の苺フラペチーノを頼み、いつもの席に座る。するとどちらかともなく自然に笑いが込み上げてきた。
悪戯した後の様な、甘酸っぱい気持ちが笑い声となり消化していく。らしくない事をした筈なのに、偶には良いかもしれない。
「凄い嘘吐いたね。今岡さん」
笑いすぎて痛い腹筋を抑えながら、どうにか言葉にする。
「嘘って?」
「前まで嘘吐いてたデブ勉にカッコ良いなんて…… あれじゃ俺が彼氏役だって直ぐバレるよ」
そう自分で言いながら少し胸が締め付けられる。女々しいのは俺もだ。
「あたし、別れたつもりないんだけど?」
「……え?」
そう声が出たのは、今岡さんが苺フラペチーノのストローを咥えた時だった。
「それに言われたんだ。春休み、ここで足立君待ってた時にお婆さんから『毎週ここに居るイケメン君の彼女さんよね? 彼にお礼言っといてね』って」
春休みここで待ってた? でも最後に会った時は俺が待ってたし、その後も来てたって事? それにお婆さんって? お礼って事は地下鉄教えてあげた時の? それよりさっき何て…… ?
「それとも…… あたしフられてた?」
その言葉と少し無理した笑顔がそんな問題を吹っ飛ばした。
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