今岡さんの本音

10/10

13人が本棚に入れています
本棚に追加
/76ページ
「そんな! いやてっきりもうフられてると、いや、あの俺の方がね?」  必死になり過ぎて前のめりになりながら今岡さんに弁明する。それをクスクス笑う彼女に「必死すぎ」と突っ込まれた。  けれど、まだ眉が下がったままなのが気になってしまう。  そうだ。あの日、俺また嘘吐いたんだ。 『言葉っていうのは操れなくちゃ世の中動かせない』と勇気を貰えて泣ける小説に書いてあった。  勿論、政治とかそんなデカい世界を動かそうとは思ってない。けれど、自分が見ている景色を変えるぐらいは、彼女を笑顔にさせてあげる事ぐらいは、できるだろうか。  苺フラペチーノの上についてるプラスチックの蓋を外し、一気に飲み干す。アイスだから、あの時みたいに喉を火傷する事はない。それでもちょと甘すぎてきつい。  空になった容器を握りしめ、今岡さんを見つめた。 「あの! ここ、海辺じゃないけど言わせて。これからも――」
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加