目覚め

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「確かー…ここに運ばれてきたのは2年前だったかな。家の庭で倒れていたのを近所の人が見つけて、救急車で運ばれてきたんだよ。そこからずっと意識が戻らないままでね、身内の人を調べて、疎遠になっていた旦那さんともう一人娘がいるそうだよ。旦那さんの方は2ヶ月に1回、お見舞いの花束を持ってきていたなぁ…どうして夜鈴さんのことを…?」 「いえ…知り合いだったんです…名前札を見つけて何があったのか気になって…」 「そうかい…っ。まだまだこれから寒くなる。体をあっためてゆっくりおやすみ」 優しい口調で弥生に手を振ってそのまま部屋から出て行った 春子が再び先生に頭を下げて、廊下で話をしているのが見える 「ゆっくりおやすみって言われても、ずっと眠っていたからしばらく寝れないわね」 弥生のテーブルの上には、学校のクラスメイトからのお見舞いの花束やメッセージカードが置かれていて、ある本が置かれていた。 「魔法使いと黒猫の話…か。ホラーもいいけどたまにはこんなおとぎの話も悪くわないわよね…」 その本を開くと早速読み始めた…。 最初の冒頭文にはこう書かれていた 『君は、夢のような物語を信じるかい?』 最後は幸せで終われるように心から願った
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