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エピローグ 〜 公爵家の幼妻は旦那様と仲良くしたい
宴が一段落すると、シャーロットは夫のリチャードとともに引き上げた。
すぐに侍女の手を借りながら湯浴みをして寝衣に着替える。公爵家が用意したそれは膝下丈のゆるりとしたドレスで、薄地のシルクながらも身頃の透け感はそれほどなく、繊細なレースやフリルがあしらわれた上品で可愛らしいものだ。
「若奥様、緊張なさってますか?」
「平気よ」
気遣わしげな侍女にニッコリと微笑んでみせる。
さすがにこういう状況なのですこし緊張しているものの、落ち着いてはいると思う。ただ若奥様と呼ばれることにはまだ慣れておらず、何となくむず痒いような気持ちになってしまった。
「行ってくるわ」
そう言い置き、侍女に見送られつつ寝室へつづく扉を開ける。
明るい——。
てっきり薄暗くなっているものとばかり思っていたが、普通に灯りがついていた。
寝台にはリチャードがひとりで腰掛けている。手に持っている何か小さなものを見ていたようだが、シャーロットが扉を開けるとすぐに振り向き、ふっと目を細めて笑った。
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