落下する

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 気が付けば、私は散らかった薄暗い部屋にいた。  またこの夢かとため息が出そうになる。何度も何度も見た、あの日のリプレイ。  部屋の隅で亮がうずくまり泣きながら震えている。  そう、あの頃の亮はとても弱々しくて臆病だった。だから、私は守ってあげなくてはと思っていた。亮が怯えている、あの女から。 「助けて」  震える声。亮が私にしがみつく。  この日、この言葉で私は決意した。  亮を救うと。  いつの間にか、場面は亮の実家になっている。  私は包丁を亮の母に突き刺していた。  助けなければ。  亮を縛り、虐待をするこの女から。  動かなくなった亮の母親を見下ろしていると、亮が部屋に入ってくる。 「何……してるの……」亮は青ざめた顔でこちらを見ている。 「何って、亮が助けてって言ったんじゃない」 「言ったけど、こんなこと……」 「もっと喜んだら?せっかくあなたを自由にしてあげたのに」  亮は絶句しながら後ずさる。 「亮、自分だけ逃げようとしても駄目よ。あなたが依頼して、私がやったの」  亮は行き場を失い、その場に座り込む。 「私たちは、ずっと一緒よ——」
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