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今更ながらに、都会と田舎出身の違いに気が付かされた瞬間でもあった。
「見かけによらず結構力持ちなんですね」
「あら痛かったかしら、でしたらすみませんわ」
「いえ、そういうわけでは……でもどうしてあまり痛みを感じないのでしょう」
「フフフ……なぜでしょうねえ」
痛みを感じないのには訳がある。
種は先程出してくれたお茶とあらかじめぬるま湯で足を拭ってくれたことにある。
お茶には、彼女が言っていた毒出し効果のほかに体を暖める効果が、そしてぬるま湯につけることの両方で
内と外両方から体が暖められ筋肉がほぐれていたからだ。
硬い肉を噛むよりも、柔らかくしてあるお肉を噛んだ方が顎に優しいのと同じで、あまり強い力で
押さなくても十分揉みほぐせたのだ。
しかし、彼女はあえてそのことを伝えずマッサージという不思議な術なのだと念押しした。
ただ重要なこととして、彼女がフウカとの距離を縮めるようになるべく努めたことで、体に触れられても緊張しなかったのは言うまでもない。
彼女の手が優しくそして力強く私の、ふくろはぎのあたりを往復するたびにふわぁ……とした感覚に襲われ、意識が飛びそうになる。
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