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ふとある疑問が浮かんだ。
「アリスさんはどうしてこんな気持ちの良いことを見ず知らずの私に?」
「見ず知らずじゃないわ、もう友達じゃなくて?」
「いえ、一応今日はじめてお会いしたばかりですし」
「そうだったわね、そうねえ……」
彼女の顔は見えなかったが、きっと考えるような素振りを浮かべていただろう。
「あなたがとても不憫に思えたから、なんだか母性本能をくすぐられたというか。でもこう思うのは失礼かもしれないわね」
「私のこと知っていたんですか?」
「うん。たまにいるの、何ヶ月も冒険者としての適正を見出だせずに故郷に帰っていく子。
だけど女の子の冒険者志望は珍しかったから、興味をもって隠れてこっそりと見てたの」
「そうだったんですか……、私もやはり才能ないですかね?」
「うーん、どうだろう」
彼女はクスリと笑った。
「失礼かもしれないけど、フウカちゃん冒険者以外の道を考えたことがあるかしら?」
「それはどういう意味ですか?」
「きっとあなたにとって見えている世界が小さいんじゃないかなと思ってね。
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