不思議なマッサージ屋さん

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冒険者として大成する以外にも、商人として故郷に錦を飾る……なんて道も全然あるわけじゃない?」 「私が商人で大成……そんなの無理です! 私文字も読めないのに」 「ほらやっぱり卑屈になっている」 彼女は意地悪な口調で嘲った。 「フウカちゃん冒険者パーティの中で何の職業が一番需要あるのか知っていて?」 「そりゃあ戦士ですよ、やはり前衛で魔物をバシバシ倒すのはみんなの憧れで……」 「ブッブー、正解が出なさそうだから言うわ。コックよ」 「コック?料理人ってことですか?」 私はキョトンとした顔で聞き返した。 「そうよ、冒険者パーティは基本的に野営するでしょ? そうしたら新鮮な食べ物が手に入らないし、時には魔物の肉でも 使って料理しないといけない。 だから、何でも食べれるものに調理できてしまう優秀なコックは引く手数多なの」 私は度肝を抜かれるような気持ちでいた、冒険者を志す身なのに冒険者についてなにも知らなかったからだ。 「すみません……無知でした」 「謝ることなんてないわ、それときちんと無知を認められることもあなたの美点ですわね」
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