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今はこの甘い癒やしの感覚に甘えていたい、溺れていたいそんな気持ちが私の心までも緩めたのか、なぜだか涙が止まらなかった。
ポロポロと訳もなく温かい涙が、すーっと流れていた。
「あれ……おかしいな、なんでだろ」
私ははっきりと聞こえる声で独り言を呟いたが、施術者は全く関せず施術を続けた。
ギュウッと、時にはじんわりと私の尾てい骨から肩甲骨にかけて揉捻される。
そのたびに快感の波に襲われる、それを数十分の間繰り返した。
血流がよくなりどんどんと全身に血が巡っていく、そんな心地よい感覚だけになった。
その感覚に私は思わず耐えきれず、気がついた時には眠ってしまっていた。
ポンポンと肩を叩かれて、私は起こされた。
施術終了の合図だ。
私はすぐに下着姿から服に着替えて、さっぱりとした気分で目覚めることができた。
「フウカちゃんが進みたい道……見つかった?」
先程まで施術をしてくれていた友達が、問いかけた。
「うん。なんだか今までより視界が広がった気がする。今まで見えていなかったものが今なら見える」
「そっか」
クスリと彼女は笑った。
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