不思議なマッサージ屋さん

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声の主の顔は見えなかったが、透き通った何とも癒やされる声をしていた。 コールボーイやセールスマンという感じでもなさそうだし、何より同性の女の子ということで安心もした。 私は少女と思われる声の主を中へと招いた。 「どうぞ中へお入りくださいな」 「はい失礼いたします」 そう返事をし不思議な来訪者は、中へと入ってきた。 するとどうだろう、そこにはこの安宿には似合わない青いドレスを着た、いかにも育ちがよさげな銀髪の少女が入ってきた。 私は思わずたじろいで、後退りをした。 「あのやはりダメでしたか?」 私の挙動不審な様子を見て、あらぬ心配をいだかせてしまった。 「いえいえ、とんでもない」 落ち着け、ここは私が宿泊している部屋なのだ、つまり一時的ではあるが私のもののはず、なにも後ろめたいことなどない。 今の私にとって、この可愛らしいお嬢さんはある意味ヴァンイパアよりも恐ろしい存在であった。 どう対処しようか……と迷いに迷いようやく一言発した。 「あの、どういったご用件で?」 はにかんだような不気味な作り笑いを浮かべ、少女に尋ねた。
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