不思議なマッサージ屋さん

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「お茶はね、体内の毒素を吐き出してくれる効果がある薬でもあるの。きっとフウカちゃんの悪いものも吐き出してくれるはずですわ」 「私の悪いもの?」 「うん。 今のフウカちゃんには悪い憑き物が三つついてしまっています。 一つは不安、二つ目は臆病、そして三つ目は卑屈よ」 「そうかもしれない」 私はお茶に砂糖とミルクをいれながらゆっくりと頷いた。 「けどいいところも三つあると思う。一つは諦めないところ、二つ目は優しいところ、そして三つ目はひたむきなところかしら」 私は照れ隠しのため、緩んだ口元を隠すようにお茶を飲んだ。 「本当はお菓子もあると最高なのけれど、持ってこれなかったわ」 「いいよ。それよりもいいの?こんな高いもの」 「お金は頂くって言ったら?」 私は軽く身震いをした。 「冗談よ、けど早く三つの悪いものがいなくならなかったら、出した甲斐がないわ」 同い年のはずが、まるで年上のような振る舞いである。 でも事実、彼女のことが眩しいお母さんのような存在に一瞬感じた。 私は残ったお茶を飲み干し、ありがとうとお礼を言った。
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