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「じゃあうつ伏せになって寝てもらえるかしら?」
「は、はい」
他人に対して背を向ける……それは冒険者にとって致命的であることは、駆け出しですらない私でも理解していので、
彼女以外に言われたら躊躇していたかもしれない。
しかし、今の私は彼女に身を委ねたい、縋りたい、楽になりたいという気持ちで満たされていたため素直に受け入れることができた。
彼女はなにやら最初に見せてくれたボトルから、何やら森の臭いのするアロマオイルなるものを捻り出し手に馴染ませているようだった。
「それじゃあ始めますわね」
彼女は私の足のつけねからふくろはぎに向かって、ゴリゴリと音をたてるような感覚で足を揉みほぐしだした。
私は思わず驚き、体をビクリとさせつつも気持ちの良い感覚に身が包まれていくのがわかった。
「あらびっくりさせて申し訳ありません、でもこれがマッサージというものですの」
「へ、へえそうなんですね」
私はなるべく動揺を見せないように振る舞ったが、体はガタガタと気持ちよさに震えていた。
なんだこれは味わったことのない快感だ、都会ではこういった体験が普通にできるものなのだろうかと
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