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蘭那由多、というモノカキをあなたはご存知ないだろう。
それもそのはず。
彼は、自称作家の卵にすぎない――今はまだ。
本名は、佐藤良太といった。
良太にいわせれば、彼の人生は惨憺たるものだったらしい。
小学校時代はできたはずの友人が、中学のときにはできなかった。
高校時代も同様。
良太の記憶が正しければ、小学校時代は特に何もしていないのに自然発生したはずなのだ、友人は。
だから中学生になり、入学式が終わったとき、ただ座して待った。
クラス中がそれぞれ、気になる子や気の合いそうな奴のところへ行って打ち解けていくのを、ただ見ていた。
そのまま、1週間が過ぎ、1か月が過ぎ、気づけば1学期が終了していた。
良太は夏休みを1人で過ごす羽目になった。
いや、これは誤解を生む書き方かもしれない。
訂正しよう。
夏休み以降もずっと1人ぼっちだった。
特にいじめられるという展開にならなかったのは、不幸中の幸いと言える。
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