息子の七五三

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 前妻との間には子ができなかった。  それを理由に、祐作の母・(たえ)は、離縁を迫った。 「跡取り息子を産めない女子(おなご)など、うちには要りませぬ」  姑にそんなことを言われる嫁の気持ちは計り知れないが、かと言って母親にに逆らいきることもできず、結局そのまま離縁となってしまった。  その次の妻、コウとの間にもなかなか子供ができなかった。妙は「また石女(うまずめ)か」と憚ることなく口にした。  そうしていよいよ妙は、妾を囲えと言い出した。またしても祐作は母に言われるがままに女を囲った。商売は順調だったし、それができるだけの金はあった。  その中には祐作の子を宿した女もいたが、赤子は(はら)の中で死んでしまった。また宿したかと思えば、生まれて間もなく命を落としてしまった。  祐作は薄々感じていた。  赤子ができなかったり発育が悪いのは自分のせいなのではないかと。  それ故に、コウが万太郎を産み、その万太郎がめでたく三歳を迎えたのが信じられなかった。  
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