息子の七五三

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 そして、祐作にとって疑念を裏付けることがもう一つある。  祐作が妾のところに出かけると、必ずといっていい程コウは外へ出かけていたという。それも、女中頭のキクにも詳しい行き先を告げずに。  幸い、隠居していた両親の耳に入ることはなかったようだが、店の中では「奥様に間男がいるのではないか」と噂になっていた。  いつしか祐作は、万太郎は間男の子に違いない、と思うようになっていた。 「ちちうえ、どうされたのですか?」  ハッとして、祐作は息子を見た。 「おこっているのですか?」  悲しそうな息子の顔を見て、祐作は反省する。そんなに暗い表情をしていたのか、と。 「なんでもないぞ。たんと食え。お前はうちの跡取り息子なんだから」  この子には、長生きしてほしい。そう思って万の字を付けたのではないか。それで良いではないか。祐作は、自分に言い聞かせた。
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