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「万太郎は正真正銘、あなたのお子です。知っていますか?この子、大根の漬物が苦手。何かを考える時、右耳の後ろを掻く癖がある。他にも、あなたにそっくりなところ、たくさんありますわ」
祐作は、コウと万太郎を交互に見た。
コウの、吹っ切れたような、美しい笑みを見て、コウも自分と同じく少なからず辛い思いをしていたのではと思い当たった。
「そうか、うん、そうだよな。コウ、今まで悪かった」
それから地面に膝をつき、万太郎と同じ目線になると、息子の顔をまじまじと見た。
「万太郎は、俺の子だ」
きょとんとした表情を見せる三歳の男の子は、なるほど初めて自分の血を分けた子供のように思えた。
今なら、心から言える。
「万太郎、三歳、おめでとう。これからも、大きくなるんだぞ」
祐作は、満足そうに微笑むと、よしよし、と万太郎の頭を撫でた。
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