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「四季おいで」
微笑まれたかと思うと、そのままふわっと抱き上げられた。
「わっ」
お爺ちゃんやお婆ちゃんが隣の部屋にいるにも拘わらず彼の胸の中に抱かれ真っ赤になった。
「時間が勿体ない。行こう」
部屋へと足を向けた。
静かな和室へ辿り着くと、ふかふかの布団の上にゆっくりと下ろしてもらった。
「明日、副島が四季に会いにここに来る」
隣に寝転がってきた彼が、からかうように頬を優しくつついてきた。
「どうした、そんな顔をして。心配しなくても大丈夫だ。怖くない。俺も一緒に会うから」
間近から 見つめてくるその瞳は、柔らかく慈愛に満ちていた。
頬に触れていた指で髪を撫でられ、その優しさにうっとりと息を溢していると、もっともっと彼に触れてほしくなった。
でもそう思っていても口に出すのは恥ずかしくて。ただじっと彼を見つめていると、次第に彼の瞳も熱を帯び、空気がより濃密なものへと変わっていった。
「四季」
髪を撫でていた手が再び頬に触れてきたかと思うと、今度はつつかれるのでなくそろそろと撫でられた。
間近から見つめられ、頬に触れていた指にそっと頤を掬われた。
ドキリと胸が跳ねた次の瞬間、唇に温かなものがそっと触れた。
覚えのある感覚に鼓動がみるみる速くなる。まるで身体全体が心臓になったかのようだ。
正直まだ怖い。でも少しでも前へと進まないと。
もっともっと彼を知りたい。
もっともっと彼に僕を知ってもらいたいもの。
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