いつか、あなたが笑ってくれますように

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春の陽射しが静かな里山を温かく包み込んでいるようだった。 お婆ちゃんが早起きして僕たちの為にわざわざ作ってくれた朝御飯なのに。ほとんど喉を通らなかった。 お婆ちゃんになんだか申し訳なくて。落ち込んでいたら彼が散歩へと連れ出してくれた。 「和真さんごめんなさい」 「いちいち謝らなくていいよ。それにお婆ちゃん全然気にしてないよ。お昼は何を食べさせようかなって逆に張り切ってるから」 「それなら良かった」 ほっと胸を撫で下ろすと、彼が手にスマホをそっと握らせてくれた。 「きみのことが心配でニュースを見せたくなかった。でもそれはただのエゴだって副島やお爺ちゃんに言われた。ごめんな、充電があまりないから電源をオフにしておいた」 「アパートから逃げるときにてっきり落としたものだと思っていたから・・・嬉しい。ありがとう和真さん」 何気に彼を見上げると、今までに見たこともないように緊張した強い表情を浮かべていた。 「あの」 自分が気付かないだけで、何か気に障るようなことを言ったのかも知れない。震える手でスマホをぎゅっと握り締めた。 「エステイトハウスに枡谷という名前の男性社員はいても女子社員はいない。四季から教えてもらった電話番号も全くのでたらめだった。俺は幽霊と喋っていたのかな」 「え?」 思いもよらないことに言葉を失った。
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