いつか、あなたが笑ってくれますように

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ぶるぶると手の中のスマホが振動した。画面をチラッと覗くときよちゃんからの電話だった。 「どうしよう」 「俺が代わりに出るよ」 疑心暗鬼に捕らわれて、気持ちが休まる暇ひまがなくて、おかしくなってしまう寸前だった。 「申し訳ありませんが、あとで電話を掛け直します」 手短にそれだけ話すとすぐに電話を切った。 彼の眉間にどんどん皺が寄っていくのが手に取るように分かった。 「和真さん?」 「きよちゃんからではなく、たもくんからだ。四季は元気なのか?四季はどこにいるんだ?四季に変なことしてないだろうな?矢継ぎ早に一方的に問い詰められたよ。たもくんももしかして心配性?それともただ単に過保護なだけなのかな」 「たもくんはいつも側にいてくれて。いじめっ子から僕を守ってくれていたんです」 「妬くな」 「だから、その、好きとか嫌いとか……えっと、その……」 自分でも何を言ってるのか訳が分からなくなってしまった。 これではただの言い訳だ。恥ずかしさに身の置き場に困った。でも和真さんは、 「四季を世界中で一番幸せな花嫁にして、誰もが羨む家庭を築いて、たもくんをぎゃふんと言わせないとな。俄然とやる気が出たよ」 目をきらきらと輝かせていた。 散歩をしていたら畑仕事をしていた腰の曲がったお婆ちゃんから「和真くんかい?」声を掛けられた。 「めんごいあねさまだごと。持っていきっせ」 とりたてのキャベツを膝に乗らないくらいたくさんお裾分けしてもらった。 「すき焼きがまた食べたくなった」 「これだけあったらたくさん作れるね」 「帰ったら買い物に行こう」 「うん」 他愛もない会話を交わしながらお爺ちゃん、お婆ちゃんの家へ戻ると、招きざる客が僕たちの帰りを首を長くして待っていた。
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