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プップー!!
車のクラクションに、相田はハッと我に返った。そこは、先ほどまでいた草原ではなく、見慣れた帰り道の風景だった。
「そうか。戻ってきたんだ……」
後ろを振り向くと、ちょうど夕日が沈む頃だった。もっと長い時間あの楽園にいたような気がしていたが、実際にはほんの僅かの間の出来事だったようだ。
まるで白昼夢を見たような気分ではあるが、秘密の楽園『黄金郷』は確かに存在した。
『今を十分に生きなさい』
最後に見た女神の微笑みが、相田の脳裏に焼き付いていた。あんなに美しい笑顔は、今まで見たことがなかった。
「よし! 明日からジムにでも通うかな?」
そんなことを言いながら、相田は軽い足取りで帰路についた。
人々が噂をしてやまない『秘密の楽園』。それは、昼と夜の間の逢魔ヶ時にだけ姿を現す──。
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