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イレギュラーなイベントで、顔を見れて嬉しい。
なのに、皆が彼女を見ているようで、何度、色を重ねても思い通りの発色が得られない、その感覚に近い焦りが生まれていた。
「ギターの子、可愛いな」
「うん、声もハスキーでいいよな、色も白いし」
「なぁ、ハルはどこの子がタイプ?」
「ハルはそーゆー話題、乗ってこねぇよ」
理一は、なぁ、と僕に肩を回した。
只でさえ、人がごった返しているのに暑苦しい。
「……ダメだ」
「あ?」
意図が理解できない、と、理一は僕を見た。
「あの子は僕が先に見つけたから、ダメ」
「……どした? 絵ばっかり描いてんじゃなかったのかよ」
「え、なに? なに? なんの話?」
もう一人の友人が理一と僕を交互に見た。
答えずにいると、ハルが覚醒したって話、と理一は楽しそうに笑った。
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