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「それより、ハル君の好きな子は? 同じ学校の子?」
「……いや、僕は」
「なんで、私だけ話して恥ずかしいよ」
「僕は……」
先を濁し、一瞬だけ迷った。
でも、期待に満ちた目からは逃げられなかった。
「僕も、あんまり相手にされてない」
なぁんだ、一緒だね、と返事をし、彼女はギターを横に置いて、肩まである髪を耳に掛けた。
「一緒だな」
「私も、態度で伝わらないなら、今度は口で言わないとって、何度も思ったけど……」
こればかりはね、と小さくバスに落ちた言葉。
「でも、好きなんでしょ?」
自分に言い聞かせるように彼女に言った。
「諦めなくてもいいのかな……、逆に諦める方法を知りたいんだけどね」
そこまで彼を好きな事にダメージを受ける。
この痛みで僕は気持ちの立ち位置を知る。なっちゃんに結構な割合で心を持っていかれてるんじゃないのかって。
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