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皆と別れ帰路につくユラシルは駆け足で自宅へ向かう。到着した時にはリーンが不機嫌さを剥き出しに唸っていた。
「ただいま、悪いな長いこと一人にさせて」
『ギャウ!』
「怒るな怒るな。すぐ晩飯にするからちょっと待ってろリーン」
頭を撫でて宥め、ユラシルはすぐに制服を脱ぎ捨てて普段着に着替え帰りに買ってきた食材をパパッと調理する。
「しかし、わかってたけどガッツリ俺の時間持っていかれるなぁ。あんまり時間を無駄にはしたくないんだけど」
ユラシルにはユラシルの使命がある。
千年もの時を越えてでも果たさなければならない使命。
世界の果ての果て、とある大陸の底に今も眠っているであろう最悪の存在───『終局』の打倒。
元いた時代では成し遂げられなかった。世界の破滅は止められなかった。
ならば千年前のこの時代で、ユラシルが戦った時よりも劣っているかはわからないが、それでもこの時代でユラシルは『終局』を倒す。倒さなければならない。
ユラシルがいた時代にちゃんと繋がるよう歴史改変を極力押さえてやらなければならない、ユラシルの人生だけでは収まらない巨大な使命。
「やってやるさ……絶対にあの野郎をこの時代で終わらせる。帰れなくても俺のいた世界を守ってみせる。絶対に」
そう。
これは究極の存在へリベンジを誓った、時を越えた彼の物語だ。
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