第2話 少年が最も許せないこと

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「ヒュチック半島での遠征か。これで二度目の遠征授業になるけど、ここにはドラゴンがいないことを祈るね」 「さすがにいないでしょ。まぁリーンはいるんだけどね」 「やっぱりついてきちゃったんだね」 『キャウ!』 ユラシル二度目の遠征。訪れたのは一月前に行ったパーセル諸島と同じく早々に開拓された比較的安全なヒュチック半島。生徒の遠征にはもってこいの島である。 今回は三日間この島に滞在し生活するわけだが、ユラシルにとってはなんの刺激にもならず退屈そうにあくびをしている。 「拠点作る場所探すか~。で?お前らどうすんだ?」 「もちろんついてくわ」 「うん」 「そうですか」 「ユラシルくん、今回は僕たちも同行していいかな?」 声をかけてきたのはクラスリーダーを任された少年。その後ろには他の生徒たちもいて、様子から察するに全員がついてくるつもりらしい。 「こんな大人数で固まって拠点作るのはあんまりおすすめしないんだが」 「キミから学べることがあるのは間違いないからね、出来るなら一緒に行動して勉強させてほしいんだ」 露骨に嫌そうな顔をするユラシルだが、純粋に学びたい少年少女たちの気持ちを足蹴にするのは気が引ける。仕方なくユラシルは承諾して歩き出し、クラス全員が後についていく。
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