第2話 少年が最も許せないこと

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ここからは数人のグループに分かれて行動することに。ヒュチック半島には危険動物は少ないがいないわけではない。だがそれなりの自衛スキルと武器を持っているから一人にならない限りは大丈夫だろうと判断したユラシルの提案である。 「さて、それじゃああたしたちも行きますか」 「悪いけど俺は一人で動くぞ」 「え、なんで?」 「団体行動嫌いだから。サラとメイリー、そんでリーンもついてってやれ。日が暮れる前には戻ってくる」 「あっ!ちょっとユラシル!?」 言うだけ言って木から木へ飛び移りながらどこかへ行ってしまうユラシルに残された二人と一匹は顔を見合わせる。 「……まぁ、あいつがああいう奴なのはわかってはいたけどさ」 「仕方ないね、リーンちゃん、一緒に行こっか」 『キャウ!』 行動に移すべく森の中へ入っていくサラたち。探索ついでに食料確保もやらねばならないのでなるべく他の生徒が行っていない方向へ進んでいった。 ようやく一人になれたユラシルはと言うと、木々を自身の力のみで軽快に渡っていきながら辺りを見渡す。 (こっちの方には誰もいないな。もうちょい険しい場所まで行くか) ヒュチック半島の探索などし尽くしたユラシル。千年という時間があって知っている様子とはかなり違うところもあるが、それでも特に目新しい物は無い。
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