103人が本棚に入れています
本棚に追加
頭と顔を押さえるユラシルへリーンが地面スレスレを滑空しながら迫る。瞬時に立ち上がり、迫るリーンを真っ正面から見据えたユラシルは一度だけ小さく笑ってから、
「───ンッ!!」
カッッ!!!と目を見開き、リーンを『威嚇』した。目に見えぬ重圧と恐怖を叩き付けられたリーンが目を瞑りそうになるが、気合いで見開き突撃を仕掛ける。
「これくらいの『威嚇』はもう効かねえか、成長したなリーン!」
『キャン!』
飛び越えてかわしたユラシルが嬉しそうに言う。リーンは手足を押し付けて急停止し、口を大きく開けて火炎を撃ち出した。
「まだその吐き方だけか」
突き出した左手から『ワールド』を放ちリーンの火炎を真っ二つに引き裂く。左右を通過していく灼熱にしかし笑みを浮かべたままのユラシルは握った右拳を振り上げ、吐き出した炎を隠れ蓑にして迫ってきていたリーンの眼前で地面を豪快に殴った。
バゴンッッ!!!と派手に砕き破片と土煙を巻き上げた。破片がぶつかろうが直進を止めないリーン。しかし土煙を突き抜けた時にはユラシルの姿は無かった。
『キ、キャウ!?』
辺りを見回してもいない。
何故ならユラシルがいる場所はリーンの真上。もっと言えば背中に立っていたからだ。
「目に頼りすぎだ、リーン」
掲げられた右拳に籠められた『ワールド』にリーンがブルリと震え、やがて弱々しく鳴いて地面に突っ伏した。
最初のコメントを投稿しよう!