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負けを認めた合図。ユラシルは『ワールド』を消してリーンから降りる。
「ちゃーんと言った通り考えて戦ってたな、よくやったぞリーン」
『キャウ!』
頭を撫でて労い、リーンの格闘訓練は終了。乱れた地面を平らにならしてから結界を消す。
「火の吐き方がまだ一つだけみたいだし、その辺も練習してくか。お前の母ちゃんのアーレットみたいに炎弾が撃てるようになれば戦い方の幅も広がるしな」
『キャウ?』
「ん~と、バーッと吐くんじゃなくて一旦溜める感じだな。口の前で火を溜めてみろ」
『……キャ~~…』
火を吐き、その場に留めようとしてみるが噴き出してしまう。火力を調整してはみるもののなかなか球体にはならず、おまけに、
「わっちゃちゃあ!!?コラァ!!火を吐きながらこっち向くな!!」
『キャブゥ…』
出来ないという困り顔を火を吐きながらユラシルに向けてしまい飼い主を焼いた。慌てて火の着いた服をはたいて消火するユラシル。
「まぁ、気長に練習していこうぜ。俺も一緒に考えてやるからさ」
『キャウ!』
「んじゃ、俺そろそろ学校行くから留守番頼むな」
『キャブブゥ』
「服を噛むな。何回目だよこのやり取り」
いつもユラシルの登校を阻むリーンをいつも通り言い聞かせ、ユラシルは制服に着替えてリーンを残し学校へと向かった。
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