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『ワールド』の使い方を教える約束をしっかり覚えているユラシルに満足げに頷く二人。放課後に実施するというわけで、ユラシルは悪夢の勉学と向き合いながらただただ時間が過ぎるのを堪え忍ぶ。
いつもの日常になりかけている。元いた時代では学校の授業に堪えられず逃亡したユラシルがこうして授業に参加しているのはユラシルがちゃんと大人になったからだろうか。
午前の授業が終了し、ユラシルは昼食を軽く済ませてからいつも休憩している場所にやって来た。学園長室だ。
「よくやるよな~、椅子に座ってじっとするなんて」
「それが普通なんですよ、ユラシルくん」
エマリエーカ王国管轄の学園、そのトップを任された赤い髪の美女、アリッシュ・メイジスタは長椅子に寝転ぶユラシルを見つめながら茶を飲む。
「お前も元は『開拓者』だろ?一日中学校にいるの辛くないのか?」
「私は半分引退したようなものですからね、それにもう慣れました」
「俺は慣れたくないね、手足が腐りそうになる」
「それより、本題に入りませんか?」
「本題っつーと、あの腐れ家臣のことか?」
「はい、バリメス・カスバッフィー。彼についてです」
「確か元々は騎士だったんだろ?成果を認められて王宮第三家臣の地位にまで登り詰めた異例の騎士とか」
「それであってますね」
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