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先日開催された学園一位を決める学生たちのお祭り王前試合、そこでユラシルは初めてバリメスと出会った。
ユラシルはバリメスのことを知っている。彼がやってきたこともこれからやることも、彼が迎える結末までも知っている。けれどそれはアリッシュには秘密だ。
千年後の知識で歴史を変えるわけにはいかない。しっかりユラシルが元いた千年後の世界に繋がってもらわなくてはユラシルの存在その物が消える恐れもあるのだから。
「私なりに調べようとしたのですが、あまり動きすぎると警戒されかねません。目を付けられると後々厄介ですからね」
「お前はおとなしく見てることに専念するんだな。ヤバいことは止めなきゃならんけど、奴の注意を引くようなことはしない方が身のためだ」
「経歴からしても怪しい人物ですからね。最初はすごいと感心さえしていましたが、あなたに注意しろと言われてからどうも見る目が変わってしまいました」
「気取られるなよ?あの野郎はどうも読めねえしめちゃくちゃ臭え。俺も迂闊に動いてあいつの目や耳に入るようなことはしたくない。今は泳がせておくのがベストだ」
「そうしましょう。私も警戒しておきます」
「お前の心配はしてねえよ。『赤熱の女神』様が不覚を取るのは結婚くらいなモンだしな」
「あん?」
「すんません口が滑りました。だから熱引っ込めてください火事になります」
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