君は可愛いな

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君は可愛いな

「お、おい・・・・・・」周りの生徒たちが騒めく。食堂に一人の生徒が現れた。制服に袖を通さず肩に羽織り腕を組んでいる。その口にはたばこか?白い物を咥えているようだ。なんだかこちらに近づいてくるような気がする。 「あ、あれは、日暮・・・・・・先輩・・・・・・」原口の顔が引きつっている。 「えっ、お前知っているのか?」 「この学園であの人を知らない人はいない・・・・・・・・」原口の話を聞きながら俺はうどんのどんぶりを持ち上げて出汁をすする。原口の言葉が途切れたのを気にしながら、どんぶりをテーブルの上に置く。 「えっ!」日暮という生徒はいつの間にか俺の目の前の席に足を組んで座っていた。 「ここ、構わないかい?」すでに場所を陣取っているにも関わらず、日暮という名の先輩は聞いてきた。 「え、ええ、構わないですけれど・・・・・・」言いながら原口の方を見ると、彼の姿はそこから消えていた。(に、逃げやがったな!)そんなにヤバい先輩なのかと俺は少し緊張する。食べ終わったうどんのどんぶりをトレーに移すとそれを持って立ち上がろうとする。 「待ちたまえ。少し話をしないか?」日暮先輩は、両肘をテーブルに突き、その上に顎を乗せる。そして口に咥えていたタバコをポリポリと噛み砕いた。どおやらそれは、たばこではなくてスティック型のお菓子のようであった。 「えっ、俺・・・・・・・、いや僕ですか・・・・・・・」一応確認のために人差し指で自分の顔を指さす。それに答えるように日暮先輩はコクリと頷いた。俺は、立ち上がるのを止めて、席にもう一度座る。  日暮先輩は徐に右手を上げると、指をパチンと鳴らすと、食堂の給仕をしている生徒が近づいてきた。 「いつものメニューを・・・・・・・二つ、お願いするよ」日暮先輩はニコリと微笑みながら、俺の顔を見る。 「かしこまりました」給仕の生徒は丁寧に頭を下げるとそそくさと姿を消した。 「君もそのうどんだけでは、午後の授業はもたないだろう。ごちそうするから一緒にに食べよう」 「な、なんなんですか?一体」何が起こっているのか俺は理解することが出来なかった。 「君の事が、気に入ったんだよ。君は身長は幾つだ?」唐突の質問に返答を躊躇する。 「えっと・・・・・・・、170・・・・・・・位・・・・・・・」少し見栄を張る。 「まあ、165㎝といったところだな」初めから解っているなら聞くな。といいそうになったが、それは胸の内に秘めることにした。しばらくすると、先ほどの給仕ともう一人が、日暮先輩と俺の前に、分厚いステーキを置いた。先輩の言う通りうどんでは、腹持ちが心配であった。「さあ、遠慮しないで食べるといい」そういうと先輩は器用に、ナイフとフォークを使い目の前のステーキを切り裂いていく。その動作は先ほどの原口と違って優雅な感じであった。 「それじゃあ・・・・・・・、遠慮なく・・・・・・・、いただきます」なんだか図渦しい感じもしたが、食欲に勝つ事は出来ない。たどたどしい動作で俺も肉を切る。俺も原口に負けず劣らず、へたくそであった。 「ふふふ、君は可愛いいな」先輩はニコリと微笑んだ。  
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