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俊也はとりあえず、職員室へと向かった。
俊也は職員室へと入り、先生に部活の相談をしてみた。その結果、空き部屋があるからそこを使ってもいいというお許しが出た。しかし、部員を三人以上集めないと部にはできないと言われた。同好会にならなかっただけマシである。
「三人以上……たった三人、だけどその三人がいない……」
俊也は頭を悩ませながら一階の廊下を歩いていた。とりあえず、考えても仕方がないので家に帰ることにした。
上履きから靴に履き替えて昇降口から外に出た。運動部が活動をしているグラウンドの脇を歩いて学校の外に出る。
「ん?」
目の前の横断歩道の先で時野アヤが歩いていた。その時野アヤの隣にはクラスで見た事はあるが、名前が思い出せない女の子が一人一緒に歩いていた。何やら楽しそうに会話をしている。
……時野さんだ。隣はお友達かな?
二人は横断歩道を渡った先にある商店街へと姿を消した。
……ついて行く気はないけど……僕もあっちの方面だし、ちょっとだけ……。
なんて言い訳をしながら俊也はなんとなく時野アヤを追いかけてみた。
……これって僕、ストーカーみたいじゃないか……。
若干の後ろめたさもあったが、帰り道がこちらだから別に悪い事ではない。
横断歩道を渡り、時野アヤが歩いて行った商店街へと俊也も入る。
時野アヤは隣のお友達と共に商店街をさらに右へと曲がって行った。
……あれ?
俊也は不思議に思った。
……ここ右に曲がったらあるのは……。
俊也も商店街の先を右へと曲がる。目の前に大型スーパーが見えた。時野アヤと友人はその大型スーパーには寄らず、そのまま裏にある神社への階段をのぼり始めた。
……神社に行くのかな? なんでまた……。
気になった俊也はなんとなく時野アヤを追って神社への階段をのぼっていった。
ばったり会うとなんだかまずい気がしたので、近くの草むらに隠れて様子を見ることにした。
時野アヤは隣にいる友人と話しながら賽銭箱に腰をかけた。
「サキ、今日はどうするの? このまま太陽に帰るの?」
「いや、ミノさんを見てから帰ろうかなってね」
時野アヤにサキと呼ばれた女の子はさばさばと答えた。
「ミノを見て帰るの? あれ? そういえば彼はどこにいるのかしら?」
時野アヤが辺りをきょろきょろと見回し始めた。
……何をきょろきょろしているんだろう?
俊也は時野アヤとサキという女の子の会話はほとんどわからず、きょろきょろしている理由も全くわからなかった。
そのうち、時野アヤともう一人の少女サキは、神社の屋根に向かって話しかけ始めた。
……え?
俊也は目を見開いた。屋根の上には誰もいない。
当たり前だ。神社の屋根に誰かいたら驚くだろう。
……でもなんで屋根に向かって話しかけているんだ?
時野アヤは屋根から急に視線を賽銭箱前に移した。まるで誰かが屋根から落ちてきたみたいに付近の小石が軽く巻き上がる。
……な、なんかいるのか……? あそこに?
俊也はなんだか不気味な雰囲気に恐怖よりも好奇心の方がムクムクと増えていった。
時野アヤの他にサキと呼ばれた少女も視線を移しながら、楽しそうに話していた。
「ミノさん、アヤにたかってばっかじゃダメだよー。え? ああ、そっか。あんたは人に見えないのかー」
サキは長い黒髪を払いながらそう言った。
……ニンゲンに見えない……?
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