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出会った時のこと
私は、未来予知ができます。
できると言っても、夢で見ることがあるというだけですが。
今日もまた、夢を見ました。
私が輪姦されて、死ぬという夢。その夢には、知らない男性数人と、黒い、影のような塊が出てきました。
黒い塊に、私は何か語りかけていたようでした。
私はこういうときは散歩に行くことにしています。歩いていると、気が紛れるからです。立ち止まると考え込んでしまって良くないのです。
そんなことを考えながら歩いていると、街灯に照らされて、黒いなにかが目に止まりました。それはぷにぷにしていそうにも見えましたが、ぼそぼそごわごわしていそうにも見えました。
「なんでしょうかこれは。」
「………………。」
私が呟くとその黒い塊から音が聞こえてきました。
よく聞いてみると、それは自然音ではなく、それが意思を持って発しているものであるとわかりました。
そういえば、これに似たものを見たことがある気がします。そう、さっきの夢の中です。
これが世界の定めた運命というものなのでしょうか。私は、それを拾い上げると家に持ち帰りました。
私はしばらく考えました。
私が死ぬこと、死んだ後のこと、死ぬまでのこと。
そして私は決めました。運命に抗うことを。
私が見たのは、私が輪姦されて死ぬことだけ。
その後も、その前も、確定されていることは何もないのです。
ならば、その間に猶予が存在する。
琴葉葵は強い女なのです。ただ運命に流されるだけでいられるほど諦めの良い女ではないのです。
運命との戦いを決意し、いつもの白い服に着替えて家を出ました。お姉ちゃんには何も言わずに。
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