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しばらくして、落ち着いてきた瑠羽は、大和からそっと体を離した。 「ごめん。」 瑠羽は俯いて小さく呟いた。 「いや、俺こそごめんな。 ウタさんを見せて上げれたら、喜ぶかなって…ちょっと軽率な考えだったよ。」 「そんな事ない!」 申し訳なさそうに眉を下げ、謝罪した大和に、瑠羽は声を張り上げた。 「私の知らないウタの姿を見るのに、少しだけ決意が足らなくて… でも、わざわざ探してくれて、本当に嬉しかった。 ありがとう。」 瑠羽が頭を下げお礼を言うと、大和は安心した様に微笑んだ。 それから、少しして帰宅する事になった大和。 「今日は本当にありがとう。 一緒に見て、とかワガママ言ってごめんね。」 玄関先で、申し訳なさそうに眉を下げる瑠羽に、大和は少し笑うと、 「いいよいいよ。 気にすんな。」 優しく彼女の頭を撫でた。 「子供扱いすんな。」 その手を、瑠羽は軽く払い除ける。 すっかり、いつも通りの瑠羽に戻った様で、安心した大和は、いたずらっぽい笑みを浮かべて、ぐしゃぐしゃっと強めに瑠羽の頭を撫でた。 「ちょっと!やめてよ!」 少しだけムキになって怒る素振りを見せる瑠羽を見て、大和は吹き出すように笑うと、 「じゃあな。」 微笑んで、頭を優しくポンポンと叩いた。 外に出て車に向かいながら時計を確認すると、夜中の1時近かった。 急いで自宅を出発した大和は軽装で、この時期の夜の寒さに少しだけ身震いをした。 フゥと息を漏らしながら、車に乗り込むと、こちらに走りよる人の気配に気がついた。 少しドキっとしながら、確認できたその人物は、大和の乗り込んだ車の運転席の窓付近で立ち止まり、手を振っていた。 それは、瑠羽だった。 「どうした?」 窓を開けて大和が問いかけると、 「これ」 と言って、瑠羽は何かを差し出した。 それは、赤い色でノルディック柄のブランケットだった。 「寒そうな格好だったから。」 「おぉ。ありがとう。 でも、車に乗っちゃえば大丈夫だよ。」 大和はそう言ったが、 「せっかく持ってきたんだから、使って!」 瑠羽は半ば強引に大和に大和に押し付けると、 「気をつけて帰ってね。」 と、自宅へと走って戻って行った。 大和は何だかおかしくて、少し笑うと、ブランケットを広げて膝にかけ、車を発進させた。 本当に可愛い子だな。 ふとそう思う。 瑠羽は、気が強く真っ直ぐな性格に、人付き合いの下手さがマイナスの作用を起こし、人を寄せ付けないオーラまで感じさせる。 でも、接して行けば、本来持ち合わせる素直さや、強がっている部分などが可愛らしく思えてくる。 ウタの映像を見て、泣き出してしまった瑠羽を抱き締めたのは、彼女を落ち着かせる為。 でも、自分の腕の中で泣き喚く彼女を、純粋に守ってあげたいと思った。 大和は確実に瑠羽に惹かれ始めていた。
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