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翌日 大和は東京に戻る為、午前中には新幹線に乗らなくてはならなかった。 あれから、大和も瑠羽も特別に会話もしないまま、彼女をホテルへ送り届けた。 今回の事はさすがに、瑠羽も堪えた様で、気落ちした様子で、 「ありがとう。 …ごめんね。」 うっすらと笑顔を浮かべた表情で呟くと、ホテルへと消えていった。 瑠羽と自分が一緒にいた事でこんな事になってしまったのだろうか 安易に約束などするべきではなかったのだろうか 大和は自責の念を抱いたが、もし、瑠羽と蓮の2人だけで遭遇していたとしたら… もっと大変な事になっていたかもしれない。 様々な感情が渦巻いていた。 実家に戻ってからも、新幹線に乗る前も、何度も蓮に連絡を試みたが、彼との連絡は一切取ることが出来なかった。 東京に戻ったその日 瑠羽も夜には戻ってきたらしく、電話を掛けてきた。 「折角、案内とかしてくれたのに…ごめんね。」 相変わらず、気落ちしている様子は、声のトーンで理解する事が出来た。 「大丈夫だよ。 …ったく、蓮のやつには困ったもんだな。 あいつ、無事に帰ってきたかな…」 未だに連絡が無いことを案じていた大和に、少しの間を空けて、 「戻ってきたみたい。 今日、連絡来た。」 瑠羽が言った。 まるで定型文の様な謝罪と、長く綴られた愛情 瑠羽は、それを見て、改めて距離を取るべきだと感じた。 ひとまず、蓮が戻ってきている事に安堵はしたが、やはり何も変わってないのかと、大和は落胆した。 「もう後数ヶ月で、インディーズデビューも控えてて、ようやく夢に1歩進む所なんだ。 恭太もピリついてるし、これ以上、私個人の事で迷惑掛けられない。 だから、音楽に集中するから、大和への連絡も控えるね。」 「そうだね… 分かった。」 応援してるから、頑張って 大和はそう言って、電話を切った。 瑠羽は、同様の内容を蓮にも送っていた。 結局、それに対しての返信が来ていない事を、気にはしていたが、気持ちを新たに持とうとしている様だった。 それから1ヶ月後 大和は新たに決まった映画やドラマの撮影や、来月に公開を控えた映画の宣伝を兼ねての番組の出演など、相変わらず忙しない日々を送っていた。 あの日以来、瑠羽からの連絡は無く、大和もしていない。 きっと頑張っているはずだ。 少し寂しく思ってしまう気持ちもあったが、頑張っているだろう、瑠羽を思うと、心が高鳴る気さえしていた。 そして、蓮はと言うと― 個人的に連絡を取り合う様な、これまでの友人関係では無くなった。 漠然とそんな風に考えていた。 そもそも、彼からは一切の連絡はなく、返信すらない状態が続き、大和も連絡を入れる事を止めた。 業界の中でも、瑠羽達からも、蓮に関する不穏な話を聞かない事。 ひとまずはそれで、良しとしよう。 心がモヤッとした感は否めなかったが、そんな考えと状態がようやく定着しだしたそんな時― 事件は起きた。
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