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ばらばらばら。 何冊かページが取れた。大きくてカラフルで大きな文字で書かれたページが。 一番手前のページを拾い上げると、 「あなたが おとしたのは、きんのおのですか?」 現れたのは、抜け落ちたページ絵と同じ泉の精。 「金の斧でも、銀の斧でも、使い込んだ鉄の斧でもない」 「しょうじきな あなたには……」 「斧はいいから、ページに戻ってくれ」 泉の精は金、銀、使い込んだ斧を持ったままページに戻っていく。 まさか、図書館に纏わる都市伝説に遭遇するとは。目を白黒させたまま、少し離れた所に落ちたページを拾い上げる。 先程の泉の精に似通った姿と、それに向かい合う青年の後ろ姿が描かれたページ。でもそこに何か足りない。 目を凝らし探す。 あった。本棚の隙間に滑り込んだ細長いそれ。 慎重に取り出しページの上に置く。すると、泉の精の手にそれが収まり、本来のページ絵に変化した。 あと一ページ。次はどの絵本の世界だろう。 拾い上げたそのページには、あなた自身の顔が。 ああ、泉に映った自分を見、若返っていることに気づくほうがよかったかもしれない。 赤らめた自分の顔から、目を逸らすことが出来ない。
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