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ファストフードでお茶をするようになり、ファミレスでご飯を食べるようになった。ようやく連絡先を交換した頃には、私は自分の心の変化に気づいていた。
(めんどくさいのヤなんだけどな…)
彼が劇場にいると見込んだ日に居なければ気になるし、家に帰ってもスマホを手にして、離して…を繰り返してしまう。ほら、こうなる。
最初は、大型犬になつかれた程度に思っていたはずなのに。自分の中の乙女に振り回されて眠れない夜が続く。
いつまでも乙女な自分に好きにさせている訳にはいかない。
「あなたと恋がしてみたい。」
と伝えた。
「してなかったの!?」
と心底驚いた後、
「よろしくお願いします!」
と彼は言った。なんだかおかしくなって、どちらともなく笑いだした。しばらく二人してケタケタ笑った。そうして私はピン芸人の彼が唯一「相方」と呼ぶ人になった。
ユースケは漫画みたいな人だった。電車やバスで席を譲るのは当たり前。おばあちゃんがいたら荷物を持ち、こどもの風船が飛ばされれば木に登って取り戻す。
私は今まで数々のアニメやドラマに悪態をついてきたことを反省した。いるわけないじゃん!の究極形が目の前にいるのだから。
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