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空色の笑顔
次の日の月曜日、目覚まし時計の騒々しさで目が覚め重々しくベットから体を起こす。カーテンを開けると外は少し曇っていた。時刻は6時37分。
今日から私の生活の中で変わったことがある。いつもならスマホの通知など滅多に来ないのだが、どうやら今日からは毎日くるみたいだ。「おはよう」と彼からLINEがきていた。私、本当に彼氏が出来たんだな。人生で初めての彼氏だ。大事にしたい。「おはよう。そういえば…結局名前なんて呼べばいい?」
名無しくんと呼ぶのもなんか申し訳なくなってきた。
「うーん、そうだなぁ……。あっ、空でいいよ」
「空?良いね、分かった」
「てか、早く学校行く準備してよ…外ちょっと寒い」
「え?」
2階の自分の部屋の窓から外を覗くと、彼が制服のズボンのポケットに手を突っ込んで私の家の前に立っていた。私は急いで玄関に行き、扉を開く。
「なんで私の家知ってるのよ……!」
「内緒。ほら、さっさと準備する」
そう言い、彼は私の背中を玄関へと押し返す。
「分かった…」
部屋に戻り朝食を簡単に済ませ、身支度をする。
改めて玄関のドアを開き、彼に挨拶をする。
「言うの遅れたわ。おはよう、空」
「おはよう!美紅さん」
挨拶をした途端彼は手を差し出す。
「ダメよ。校則違反。見つかったら生徒指導室行きなんでしょ?」
「ちぇっ……」
彼は小さく舌打ちをした。聞こえてますけど?
「今度遊ぶ時に繋ぎましょう。」
「やった笑」
さっきからコロコロと表情が変わる。犬みたいな人だ。
今日から朝歩く時には隣に人がいるから、鼻歌も歌えなくなった。少し寂しく感じる。隣をチラリと見ると、満面の笑みで空を見上げている彼がいて、もうそれだけで充分かなと思えた。教室に着く頃には、外は土砂降りの大雨が降っていた。
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