ヘアゴム

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 疲れをとろうと眼を閉じてみる。  けど、ヘアゴムが私の頭を埋めていく。  どうしてこのヘアゴムは置かれていたのだろう。なんでこんなヘアゴム使ってるのだろう。あんなに大きな輪っかなら、束ねる髪の毛はどんだけ太いのだろう。そもそも、この変なヘアゴムはヘアゴムなのか。びよんと長い輪っか状の紐……はっ。あやとり?  あのヘアゴムは、ある女の子の大事な宝物だった……。 「私もお母さんと同じヘアゴム使いたい」  一本の細長いゴム紐を自分の束ねた髪に合うように切っていたお母さんの手が止まります。おねだりしてきた女の子を困ったように見ました。それほど長くない女の子の髪は、結べそうにありません。  お母さんは少し考えると、ゴム紐をいつもより長く切って結びました。 「お母さんとおそろいのゴムよ。あなたはこれであやとりをして使ってね」 「お母さんと一緒のゴム」  女の子は瞳を輝かせてゴムを手にすると、あやとりを始めました。  そのとき、謎の組織がやってきて、お母さんをさらい……。  ああ、かわいそうに。それから女の子はこのあやとりゴムを持って、お母さんを探しに電車に乗って旅に出たのだ。  ならば、このあやとりゴムを探しているかもしれない。私はこのあやとりゴムを届け出ようか。
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