君の思い出

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ねぇ、みーちゃん。 君はあの時、私が必死に叫んだら、意識を取り戻したのだろうか? 旅立つ日まで、何度も君の元へ通った。 消毒されたエプロンと帽子をかぶり、中へ入る。 みーちゃん、来たよ 未だ管が繋がる君へ、そっと呟く。 もうすぐ私、旅立つね もし、こんなことになってなかったら。 君は見送りに来てくれただろうか。 ううん、きっと。 その日ですら、君は。 電車に乗って遊びに行くから、 そう言って、来なかっただろう。 それから一年。 君は、二度と会えない所へ、逝ってしまった。 思い出す楽しい日々。 一緒に叫んだアーティストの名前。 楽しそうな笑顔に、怒った顔。 遊びに行くから、という、声。 何かの拍子にふと思い出す君に。 私は時々、後悔の念。 あの時、もっと優しく言えば良かった。 あの時、素直に喜べば良かった。 あの時、あの時。 今頃後悔しても、謝りたい君は、もういない。 ねぇ、みーちゃん。 もう日本一周は終わってしまった? もしかして、遊びに来てたかな? 今更私は、もっと君と、一緒の時を刻みたかった。 日々の生活の中で、ひと時も忘れないなんて事は出来ないけれど。 私は君を忘れていないよ。 今年も君に贈ります。 あまり好きじゃないって言ってた、ピンク色。 敢えて、ピンクの花を送る私に笑って欲しいな。 親愛なる君へ。
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