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02.7月、期末試験後
「ねえ、ブルー、今度うちであるサッカー部の練習試合観に行こうよ。」
まゆみ、友香、梨奈が机に集まってくる。
「何で?」
「いや、だってさ、滅多にうちでやらないじゃん、サッカー部。ナイトが見れるって。」
「ええと、ナイト?」
瞬間そう返してしまった。
「え、マジ?あんた、ナイト知らないなんてもぐり過ぎる。」
「いや、そういう意味じゃ」
「マジで知らないの?1組の水木咲夜、サッカー部のキャプテン。」
「超イケメンで超背高いし、おまけに頭も良いし。」
「頭良いって、ごめん、学年何位かで言ってくれる?」
「出たよ、ブルー、あんたトップ3までしか名前知らないでしょ。」
いや、そういう意味で言ったのではないんだけど、3人組の勢いの前に否定するきっかけを逃す。
「ブルーはさあ、次の試験で1位奪回に命かけてるもんね。」
「いや、別に命はかけてないけどさ。今回は本気で悔しかったからさあ。」
「はいはい、初2位だったのよね。トホホ、お気の毒に。」
「で、ブルー、その時順位見なかった?ナイトは4位だったんだよ。サッカー部やってて、キャプテンで、4位だったんだよ?」
「ちょ、興奮しすぎだって。何、サッカー部やってて4位だとそんなに特別な訳?私だって卓球部なんですけど。」
「ぷっ、卓部でそんなに威張られてもねえ。サッカー部は日の当たる場所、卓部は日の当たらない場所。」
「何それ?聞き捨てならない。」
「まあまあ、それはそれとして。」
「それはそれって…」
「いや、だからさ、ブルーも行こうよ。期末終わったしさあ、夏休みもすぐそこ。リラックスリラックス。」
三人揃ってニッコリ笑う。その笑顔にやられた。
「オッケー、わかった。これから休みでしばらく会えなくなるもんね。その前にみんなと楽しめるならどこでも良いや。」
「やったー。応援しまくろうね。」
もちろん、と私は思った。
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