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04.6月、置き去りーブルー
高校生活最後の体育祭も終わり、段々と受験の足音が聞こえてきそうな、でもまだ足踏みしていてくれるような6月。
今日もぷっくりした雨粒をたっぷり含んだような梅雨の空気の中、駅からの通学路を急ぐ。もう来年にはこの道を通らないなんて、信じられない。私たちが確かに過ごした時間は跡形もなくかき消され、新しい学年たちに更新されてしまう。3人組や、ゴールドや、ナイトや、みんながいたのよ、と焦がれるように思うんだろう、きっと。
教室に着くと、廊下側のゴールドの席に3人組が集まって、何やら話していた。
「おはよー、みんな早いね。」
「あー、ブルー、じゃなくてあんたがいつも遅いんだって。」
まゆみがポニーテールを揺らしながら言う。
「あ、そうか、てへ。」
私は自分の席にカバンを置きに行く。友香がついてくる。
「何話してたの?」
教科書を出しながら聞くと、
「なんかさー、体育祭も終わっちゃって、どんどん楽しいことがなくなってきちゃったじゃない。考えてみたら私らって高3なんだよね。」
溜息をつく友香に、思わず笑ってしまった。
「友香、今頃気づいた訳じゃないでしょうに。」
「いや、なんかつまんなくなっちゃってさ、それでゴールドにお出かけプランを持ちかけた訳。」
「お出かけプラン?何それ?」
「ほら、覚えてない?高2ん時さ、みんなでゴールデンゲート行って楽しかったことあったじゃん?」
あの代官山の夕暮れが一気に戻ってきて、息がつまった。
「覚えてないかな。」
友香は私の一瞬の沈黙を誤解したようだった。
「あれさ、またやろうって、今ゴールドに言ってたとこ。ねー?」
と大声でゴールドに叫んでいる。段々みんなゴールド化してきているようで怖い。
「おー。何、ブルー覚えてねーの?お前、やっぱ素っ気ないって言うか、あ、違うか、もうお年を召してきちゃった?何一つ覚えていらっしゃらない?」
「ゴールド、てめえ。」
「あら、年を取られてもその般若みたいなお顔はお変わりにならないこと。」
「もう、二人ったら。何でよるとさわるとケンカになんのかなあ。」
仲裁役のまゆみが困り顔で言う。まゆみは気の強い姉と妹に挟まれているせいか、仲裁がうまい。
「どうどう。でね、ゴールドにこの間のメンツ集めてもらえないかって言ってたわけ。」
「そういえばさあ、あの時ビー部から一人来てたよね。私全然わからなくって、何て名前だっけ?」
「ゴールドッ、」
だから叫ぶなって。
「この間ゲートで一緒にいたビー部君、何て名前なのってブルーが訊いてる。」
友香が野太い声で聞いている。
「何、ブルー、お前記憶はアレでも、あいつのこと覚えてたの?密かに?いや、俺はてっきり柿本狙いかと思ってたんだけど、違ったのか。お前も守備範囲が広いっつーか、なんつーか。」
私はゴールドの席に歩きながら(こんな話大声でされたらたまらない)
「いや、ただ誰だったのかなーって思っただけだよ。」
「いーんだよ、いーんだよ、照れなくたって。あれはなあ、我がビー部が誇るスクラムハーフの甲斐よ。じゃあ、あいつも誘って行くか、ゲート。」
「行く行く。」
いつの間にか3人組も来ていた。
「勿論ナイトも誘ってねー。」
さっきまで枝毛とりに集中していた梨奈が言う。
「ってか、ナイトの都合に合わせてね。」
友香が念を押す。
「ナイトが一番来やすい日で決定だから。」
まゆみがにっこり微笑む。
「お前ら…俺がいなくても、ナイトだけいればいーって、そんなあからさまに。」
「ごめんねー、私ら正直者だから。でも、ここいらの女子みんなそうだよ、きっと。」
「だよねー、あのナイトに誘われたら、んもう、take me anywhereって。」
3人組がゲラゲラ盛り上がる。
「ブルーも勿論来るでしょ?ゴールド、ブルー用にそのスクラムなんとかの彼と、予備に柿本君もよろしくね。」
「お前ら、大概失礼じゃねえか。予備ってなんだよ、予備って。ま、いいや、俺はボルケーノさえ食えれば。じゃ、メンツ集めて日にち決まったら連絡するわ。」
ナイトと一緒に出かける、のか。私は平静さを保てるのか?保たなきゃ。修学旅行以来頑張ってきたんだから、きっと出来る。
翌々日、
「わりい、お前ら土曜でも良い?なんか夏の大会に向けて平日はうちもサッカー部も猛錬でさ、んもう神ちゃんなんてほんとやべーの、俺、毎回怖くてこわくて、でさ、なんかサッカー部の金ちゃんも殺気立ってきてるらしいんだよ。だから唯一のオフが、来週の土曜しかなくてさ。」
「良い、良い土曜日っ。」
「ってかむしろ土曜が良いし。」
「絶対土曜で。」
さすがのゴールドも3人組に気圧されている。
「お、おお、お前ら妙に食いつき良くねえ?」
「だってさあ、一日中いられるんだよ、ナイトとー。」
「だよねーっ。」
「お前らさあ、ほんと遠慮ってもんがねえよな。良かったよな、俺の性格が極上でよ。」
「極上って...」
「ねえ、自分で言うかね。」
どこまでも外しまくるゴールドだった。
来週の土曜日って、6月の今の季節、何着て行こう。べたつくのは嫌だけど、お店入ると冷房で突然寒くなったりもするんだよね。かと思えば、晴れ間は真夏みたいに気温上がるし。あれこれ悩んでやっと決まったのが前日の夜10時。途中、まりが何事かと様子を見に来た。
「お姉ちゃん、カステラ頂いたからみんなで食べようって、ママが言ってるけど?」
「うーん、もうちょっと経ったら行くって言っといてくれる?」
「う、うん。すごい洋服の山だねえ。明日どこか行くの?」
「うん、だから今真剣なのよ。ちょっと経ったら行くからね。」
とまりを部屋から押し出した。大好きなカステラ、早く食べたいな。でも、あとちょっとでイメージかたまりそうなんだよね。今回は悩む要素が多すぎる、洋服は大好きなのに。しかも髪型も考えなくちゃか。3人組は想像がつく。友香がスポーティ、まゆみが清楚、梨奈はひたすらセクシーなはず。カステラの魅力に負けそうになるのを、なんとかしのいで、結局決めたのは膝上のグレーのスウェットのタイトスカートに、レモンイエローの半袖ニット。白いパーカーを腰巻にして、靴はコンバースの白、ギャップのサックでようやく決まり。髪型はいつものポニーだけど、地毛巻きで。
「終わったー、カステラ食べたーい。」
私はドアを開けて食卓に突進した。カステラをお腹いっぱい食べて、満足して、お風呂もゆっくり入って髪の毛も洗って、リラックスして寝られるはずだったのに。明日ナイトが来るんだ、と思ったとたん、心臓が騒ぎだして頭に血が上った。「平常心」と念を入れながら、無理やり目をつぶった。でもどんなにおしゃれしたってナイトには届かない、とうすら悲しく思ったのが最後の記憶だった。
「いやーん、ナイトカッコ良すぎ。」
「私服だとまたよだれもんなんですけど。」
「写真撮っても良ーい?」
お約束の巻き髪に、スポーティー系、清楚系、セクシー系の3人組がカメラを構える。と、単なる白Tとジーンズの手抜きなんだかオシャレなんだかわからないゴールドが、
「すいませんねー、記者の方々。今日はナイトさんお忍びなんで。取材はお断りしてます。」とすっかり排除に入る。私だってゆっくりナイトの私服姿を見たかった。移動の時に初めてちらっと見えた。ダークインディゴの細身のジーンズに黒のTシャツで、黒のセーターを腰に巻いて、腕には黒のコードブレスをしている。やっぱりナイトの髪と瞳には黒が一番映える。
「おーブルー、お前性格がひねてるから、モノトーンでズルズルしてるかと思ったんだけど、案外爽やか系なんだな。」
「失礼な。あんたこそ、もうちょっと気を遣ったら。それじゃ小学生だってもっとオシャレだよ。」
「お前、そんなこと言ってると紹介してあげないぞ。ほら、お前が知りたい、知りたいって、喚いていたうちのスクラムハーフの甲斐君。」
そう言えばこの人真ん中に座ってたな、と思うくらいの印象だった甲斐くんが、私服のラガーシャツだとやっぱり似合うし、きちんとカッコ良い。でもちゃんと訂正しとかなきゃ。
「私、喚いてないって。あんた適当なこと言ったら、甲斐君にも失礼だかんね。」
「あーそうだった、お前は柿本も守備範疇だもんなー。さすが卓球部、お前オールラウンダー?」
「守備範疇って何よ。それに私は前陣速攻。三球目スマッシュで決めるタイプ。」
「いいか甲斐、それに柿本も、気をつけろよ。三球目スマッシュで決められないようになー。」
「ったくあんたは、あー言えばこー言う。」
私たちがそれこそ喚きながら先頭を歩いている間、ナイトは1番後を3人組にくっつかれながら歩いていた。
「ゴールドー、今日の予定はー?」
友香が後ろから聞く。
「おー、今11時半だろ?飯食って、1時からの映画観て、で締めがゴールデンゲートってどう?俺はもー全部すっ飛ばして、ゲートだけでもいーけどよ。」
「映画ー?私ら何も聞いてないよ。何観んのよ?」
「『禁断の―』と言いたい…ところだけど、あれは俺ら年齢制限あるし。で『ドリーム』どう?」
「ああ、あれ、私観たかったんだ。宇宙飛行士になりたかった女の子の話でしょ?」
私は観たかった映画だったので、つい嬉しくなって身を乗り出した。
「そうそう、うげ、もしかしたら俺ら初めて気が合ったんじゃねえ?ほい、ハイタッチ。」
私は背伸びしてゴールドの手に自分の手を合わせた。
「やっぱ仲良いよね、あんたら。」
「うん、3年間ずーっとそうだよね。」
「何なの、あんたたち?付き合うでもないし、でもだからといって他の子たちと付き合う訳でもないし。謎なんですけど。」
3人組が口々に言う。
「それ、俺も思ってた。こいつこんなだけど結構モテるし、でも全然その気ないみたいだし。それは紺野さんがいるからかなあ、とかって。」
甲斐君まで。そうそうと、柿本君も頷いている。
「お前らなあ、そんなこと考えてたの?バカバカしい。ブルーはブルーで、俺は俺よ。」
「何それ?ますますわかんないんですけど。」
梨奈が口を尖らせている。
「でも私も死ぬほどおかしい。私と天敵のゴールドがどうにかなるって、何それ?あるわけないじゃん、ったく。」
あまりにもあり得ないみんなの想像に呆れかえるしかなかった。
その後、KFCでさくっとお昼を食べ、毎度のゴールドのバカ話を聞いてみんなで大笑いし、映画館でチケットを買ったのが、上映20分前。3人組とトイレに行き戻ってくると、ゴールドからチケットを渡された。何でも「俺様の」配慮で、男女交互になってるらしい。私はG-11だった。席に着く前にみんなの足を乗り越えなくちゃと思っていたら、さっさと座った梨奈が、
「あんたはあっち」
と反対側の端を指さすので、暗くなった場内を慌てて向こう側に回り、G-11を探して座ろうとした。したんだけど、慌てていたせいか一瞬よろけてしまい、隣の席の人にぶつかった。
「大丈夫?」
でもその声は聞きたかった声じゃなくて、もう少し低い重量感のある甲斐君の声だった。でも却って良かった。おかげで映画に集中出来たから。
「あー面白かったー。」
まゆみが伸びをする。それを合図にみんなで席を立って外に出た。
「私、トイレに行ってくるね。」
と言うと、
「おー、俺ら1Fのロビーで待ってるわ。」
とゴールドが答えた。トイレを終えて、映画用におろしていたポニーをまたまとめて、トイレから出てくると、通路の壁にもたれかかってナイトがいた。そう言えば、さっきトイレに入ってきた人たちが、
「あの人誰だろうね?見た?」
「うん、見た見た。すごくカッコ良いよねー。足の長さ半端ないし。」
「モデルさんかな。あんな人に待たれてみたい。」
と言ってたっけ。ナイト人気とどまるところを知らず、恐ろしい。
「あ、トイレ?私、先にロビー行ってるね。」
と通り過ぎようとしたら、
「5時くらいなら遅くないの?」
ゆったりと背を起こして、ナイトが隣に来た。
「?」
「素っ気ないのか、性格なのか、もしかして鈍感なのか。」
ナイトがぶつぶつ言う。
「あのね、5時に代官山なら大丈夫なの?」
「?」
「たまに顔を見るかと思ったら、さっぱりわからないって表情で。俺は一体どうしたら良いんだろう。」
と上を見たりしている。
「あ、えーと、私たち何か約束してたことあったっけ?」
混乱しながら必死に見上げる私に、ナイトはにっこり微笑んだ。
「行こう、HAKUSUIに。今度こそ一緒に。」
呆気にとられるとはこういう事か。あまりの驚きにぼんやりしながら、でも私は頷いていたらしい。
「じゃあ約束したからね。」
この人はやっぱりだいぶ確信犯だ。断られる選択肢を多分持っていない。賞賛を過不足なく受け取る人だから。圧倒的なその力強さの前に私は何て無力なんだろう。
ロビーに着くと、何となく私たちはばらけ、ゴールデンゲートに向かった。ゲートで、私はまた柿本君と甲斐君の前に座り、2人にそれぞれの部活の話を聞いた。甲斐君が言うには、ゴールドはやっぱり部活でもバカなこと、バカだけど、誰よりもタフで勇敢で突っ込んでいけるらしい。柿本君は、今季は特にみんながまとまっているから、夏の最後の大会で良いところまで行けるんじゃないか、そしてそのせいで益々練習がハードになってるけれど、「うちのキャプテンは走るからねえ。ほっとけばいつまでも。だから、皆根をあげられない。」と苦笑いをしていた。まあビー部とサッカー部のキャプテン同士の二人が気が合うのも、その重責があるからなのかもしれない。背負うものがあるのだ、ナイトはともかくゴールドなんてその片鱗も見せないけれど。私も我が卓球部の話をした。意外なことに、二人とも私が副部長だということを知っていた。「多分だけど、ブルーは自分で思ってるより知られてるよ。」とのことだ。日陰と言われている卓球部だって、鬼の筋トレがあること、スマッシュ100球練習もあり、ラケットでボールが割れることなどを話した。
パフェを食べながらあんまり盛り上がっていたので、肩にそっと手がのせられた時にはそのままゲラゲラと見返してしまい、それがナイトだとわかった瞬間、固まってしまった。私が突然固まったので、柿本君と甲斐君も固まり、それが連鎖して3人組が固まり、唯一いついかなる場合でも影響を受けないゴールドだけが、
「ナイト、お前何で急にブルーのとこ行ってんの?あれ、何でカバンとか持っちゃってるの?」
と訊き、それにつられて今度はみんながナイトを見、ナイトの、
「行こう、遅くなっちゃうよ?」
の声を聞き、私が大慌てで荷物をまとめてお金をテーブルに置き、最後のお水を飲み干し、手を振って立ち去るのを見送っていた。
「えーっ、何今のー?」
「おい、ちょっと待てってナイト、何で?ブルーに何か用でもあんのか?」
という大騒ぎを背に受けて、私はドキドキする胸を押さえて、黒いTシャツの背中を追った。これだから、足の長い人っていうのは。
私が息をきらしながらやっと追いつくと、ナイトは涼しい顔で、
「代官山まで歩く?」
と私の顔を覗き込む。小走りで追いついたのと、ふいにキラキラした黒曜石の瞳が目の前に現れたのとで、息苦しさが最高潮に達し無言で頷いた。
「また喋んなくなっちゃうの?柿本たちとはあんなに盛り上がってたのに。」
「いや、これは不可抗力っていうか。もう少し足の長さの違いを考慮してもらえると…」
相変わらず息切れしたまま答える。
「あー。」
と言ってナイトはクスリと笑い、
「ごめん、さっき急いでたのは、また、遅くなったからバイバイって言われちゃうんじゃないかと思ってさ。」
この人はこういうことをサラリと言う。急に言われるこっちの身にもなってほしい。ナイトは時計を見ながら、
「今の時間でこれからHAKUSUI行っても大丈夫?」
と聞く。
「うん、大丈夫。」
「なら、ゆっくり行こう。夕暮れ、楽しみたいし。」
もちろん。私は心の中で答えた。だってこの時刻は私の大好きな時間だもの。日差しが薄い金色に変わり、街の音がかすかにエコーがかってくる。色々なものの輪郭がにじみ出す、夕風の吹くこの時間。そんな中を一人で歩くだけでも楽しいのに、二人でなんて。なんて嬉しいんだろう。
でもその安心していた矢先に、
「紺野さん、」
少しずつ慣れてきた距離感から声が降ってきた。
「はい。」
「時々なんだけど、俺のこと見てる?」
だからそういう事をストレートに聞かないでほしい。もう見ていなかったのに、修学旅行からずっと。あの時の涙が出そうな気持ちが瞬時に蘇った。ナイトが佐々木さんに向けていた特別な微笑も。
「ちょっと気に懸かってて。でもだからと言って喋んないでしょ、俺とは。今だってそうだし。」
この人は一番触れられたくない所をいとも簡単についてくる。そっとしてほしいのに。武士の情けだろうが。段々腹が立ってくる。
「別に気に懸けなくて良いよ。」
「えっ?」
「水木君のことはみんな見てるよ。3人組なんて、全東京女子が見つめているって騒いでたよ。ゴールドは、ナイトは視線を過不足なく受け止めるって言ってたし。それで良いんじゃない?遠巻きに見ている人もいれば、近づいて堂々と見つめる人もいる。ただそれだけのことだよ。今だってすれ違う女の子たちは、みんなあなたのことを振り返って見てる。慣れてるでしょ、そんなの。だから私のことなんていちいち気に懸けなくて良い。」
話しているうちにどんどんみじめになり、涙まで滲んできそうになった。涙だけは見られる訳にはいかない。だから、
「今日はありがとう。散歩はここまでで良い。大好きな夕暮れを歩けて楽しかった。じゃあ、私帰るね、あっちだから。」
HAKUSUIとは反対方向を指し、顔も見ずに走る。ああ、めんどくさい。どうして私はこう…大好きな人に誘われたんだから、ただそれを素直に喜んで時を過ごせば良いのに。一緒に行こうって誘ってくれたのに。トイレの前で待っててくれたのに。私だけをその瞳に映してくれたのに。
家に帰りつき、ただいまと言いながら、自分の部屋のベッドに倒れこむ。そのまま夕闇の中でじっとしていた。身じろぎもせずに。
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