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青の希望
「ただいま」
「おかえりなさい、春樹。遅かったわね」
「秋菜に会って……一緒に帰ってきた」
「秋菜ちゃんに? 変わった様子はなかった?」
「なんか病気らしくて……犬を連れていた」
「メカトロドッグだろ?」
玄関で後ろを振り向くと、そこに父親が立っていた。ちょうど研究所から帰ってきたところだった。
「知ってるの? 秋菜の病気って……」
「彼女は青でも黒でもない、別の波動にバイオリズムが共振しているのが原因だろうね。だから不安定な状態が続く。それを調整するのがメカトロドッグの役目」
「なんでそんなに詳しいの?」
「ああ、今日黒の世界の研究メンバーとの意見交換会があった。向こうでは次元障害のバランスがかなり不安定なので、研究と技術がかなり進んでいるらしい。大規模な『次元同調機構』を両世界で構築することになった。メカトロドッグの超大型版を開発するということだよ。うまくいけば……五年後には解決するかもしれない」
「五年後……」
それまで秋菜に会うことはできない。今ならすべてを捨てて、黒の世界で生きていくことも選択肢のひとつ。
「父さん、母さん、僕が黒の世界に行きたいって言ったら、どう思う?」
「何言ってるの? 絶対だめよ、家族が離ればなれになるなんて、許しません」
「なんでそんなこと考えているんだ?」
「それは……」
「秋菜ちゃんか?」
「そんなんじゃないよ、ただ経験のない世界にも興味あるし……」
「まあ、もう17才、一人前の男だし、決めるのは自分自身だな」
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