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「いらないなら別にいいぞ。ただし、これ、特注品だしお前しかサイズ合わないし、貰ってもらわないと正直困る」
「なんだよ、それ」
いつの間に人の指のサイズを測ったんだか。
油断も隙もない。
「どうするんだ?」
「貰うに決まっているだろう」
気恥ずかしくて顔を逸らすと、鏡のヤツ、可愛いを連呼していた。
「絢也だっけ!?殴られる覚悟で一緒に謝りにいこう」
「あぁ」
肩を寄せ合い、恋人繋ぎをして、延々に広がるひまわり畑を眺めた。
顔さえ覚えていないのに、母の顔が、黄色の花と重なって脳裏に浮かんできた。
『翔、ママの分まで幸せになるのよ・・・』
日だまりのような温かな声に、目頭が熱くなった。
「・・・どうした?」
「なんでもない」
鏡の肩に顔を埋めた。
これ以上、可愛くない顔を見られたくなかった。
そんな俺に、鏡は、嬉しそうに微笑んでくれた。
そして、ゆっくりと俺らの影が一つに重なった。
こうして、最初で最後の永遠の恋が始まったーー。
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